カードゲーム型教材「マスピード」

カードゲーム型教材「マスピード」は、算数嫌い!数学嫌い!の子供達が多い中でゲームを楽しんで、いつの間にか数学的能力を身につけれたら…と考えられたのが、このマスピードです。



1.マススピードとは?


マスピードは、計算練習の代わりに勉強が嫌いな弟のために、私が高校の時に考えたゲームです。
このゲームが、単なる計算ドリルの代わりになるのではなく、もっと高度で教育的な学びにつながることに気づき、カードゲーム型教材「マスピード」となったのは、私の学部時代の時です。
私は学部時代、小中学生を対象に塾を開いていました。この塾は、大手塾の入塾試験に合格点できない子どもを優先的に受け容れていました。そのため、学校の授業について行けない子どもだけでなく、宿題をやってこず、机に座らせることさえ難しい子どもも多くいました。
そんな中、塾の空き時間を利用して行ったトランプの間だけは、一生懸命机に向かっている姿を見かけたのです。その姿は、どのようにして勝てば良いかを考えたり、勝つための方法を強い友だちに聞いたりして真剣に取り組むものでした。
その姿を見て、もしこれが勉強だったらどれほど素晴らしいことかと考えたのです。そこで、ものは試しにと、計算練習ができるゲームとして「マスピード」を紹介してみました。すると帰る時間を忘れてしまうくらい熱中し、毎週塾に来るのが楽しいという子どもが増えたのです。
半年も立った頃には、計算が速く、そして好きになるといった当初の狙いだけでなく、副次的な効果があるように見受けられました。それは、以前働いていた大手の塾の、いわゆる勉強の出来る子どもたちよりも、主体的に学び、考え、算数・数学で得た知識を日常の様々な場面で利用できるようになっているように感じたことです。
このように子ども達に起こった変化がとても嬉しく、それから更に半年ほど掛けて改良を重ね、カードゲーム型教材「マスピード」として完成させました。
この副次的効果を実際の学校現場で試し、その効果を研究することになったのは、それから更に5年ほどの月日が流れてからでした。


2.効果の検証


私は、マスピードの教育効果を測るため、様々な研究を行ってきました。
ここでは、その中の1つである「数学的な考え方を育成するカードゲーム型学習教材『マスピード』の評価」について簡単に紹介します。
この研究は、私が私の塾生に対して感じていたこと、「マスピードは数学的な考え方を育むのではないか」という疑問に答えるために行ったものです。数学的な考え方を測るために、学力テストのB問題を利用し、以下の3つを明らかにしました。
①マスピードの得意不得意と学力テストA問題、B問題それぞれの得点との関係
②マスピードを利用する前後で学力テストB問題の得点分布がどう変わったのか
③マスピードを利用した人とそうで無い人のB問題の得点分布の違い
これらの結果から、数学的な考え方を苦手とする子どもに対してマスピードが有効であることが分かったのです。
良くを言えば、数学的な考え方を苦手とする子どもだけでなく、全ての子どもに効果があることを示したかったです。しかし残念ながらこの研究からは、その結論を導き出すことはできませんでした。今後、更なる研究を重ね、示していきたいと思っています。
詳しく知りたい方は、以下のURLから研究論文をダウンロードして下さい。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009807018


3.あそびかた(こども編)


ここでは、最も簡単な遊び方を説明します。子どもと一緒に読めるように文字を平仮名にしてあります。読みにくい方は、「遊び方(大人)」をご覧下さい。

ここでは マスピードを ひとつ つかいます。
マスピードは、 すうじが かかれている ほうが おもて です。
おもてには はしっこに いろいろな いろが ついています。
そのなかで、ひだりうえが あかい カードを あつめましょう。
ひだりうえが あかい カードは 1から9までの すうじが 2まいずつ はいっています。
そのかーどを よく まぜてください。
つぎに 5まいを おもてにして ならべます。

つぎに 2まいを おもてにして 5まいの うえに ならべます。

うえに おいた かずを たしざん・ひきざん・わりざん・かけざんを つかって つくってみよう

たとえば 7-3で 4!

つくれたら、つかった 2まいを つくった かずのうえに かさねよう!

だした あとは 5まいに なるように カードを ひこう。

あとは おなじことを くりかえそう。
つくれないときは 1まい ひいてきて うえの ひだりに かさねよう


4.カード構成


左上が<>赤色:1から9までの数字が2枚ずつ
右上が青色:1から9までの数字が2枚ずつ、10から12までの数字が1枚ずつ
左中が緑色:1から9までの数字が2枚ずつ、10から12までの数字が1枚ずつ、1から9までの「かけわり」が1枚ずつ
左下が紫色:1から9までの数字が2枚ずつ、10から12までの数字が1枚ずつ、2の「かけわり」が4枚
右中が黄色:1から20までの数字が1枚ずつ、1から12までの「かけわり」が1枚ずつ
右下が橙色:1から9までの数字が2枚ずつ、10から20までの数字が1枚ずつ


5.あそび方


①赤色のカード

赤色のカードは、1桁の数字で出来ています。
そのため、マスピードを初めて遊ぶ場合や、低学年のお子様に適しています。
また、『けた』カードとの併用にも適しています。

②青色のカード

青色のカードは、12までの数字で出来ています。
一番基本的な構成となっています。
繰り上がりや繰り下がりを勉強した後でしたらいつでも使用できます。

③緑色のカード

1桁の『かけわり』カードが1枚ずつ入っています。
『かけわり』カード使用時にかけ算を必ず使うよう促すことで、かけ算の練習をさせることが出来ます。
わり算を必ず使うよう促すことで、わり算の練習をさせることが出来ます。

④紫色のカード

2の『かけわり』カードが4枚入っています。
偶数・奇数の考え方を学ばせたい時に利用してください。
その場合、2の『かけわり』カード使用時にわり算を必ず使うよう促してください。

⑤黄色のカード

黄色のカードは、20までの数字と『かけわり』カードで出来ています。
『かけわり』カード使用時にわり算を必ず使うよう促すことで、約数や素数の考え方を学ばせることが出来ます。

⑥橙色のカード

橙色のカードは20までの数字で出来ています。
マスピードに慣れた子どもに普通のルールでやらせたいときに使ってください。
20までの大きな数同士の四則演算を行わせることが出来ます。
また、2枚だけではできない数が多く、計算練習に適しています。